君の好きな人になりたい
「あんまりって、つくときもあるって事じゃん」

眉をひそめて中村君の瞳を見つめる。


「そうだね。でも嘘つく時は人の為につく嘘って決めてるから。それ以外はつかない。だからさっきのは嘘じゃないよ」


なぜだろう、他の人が言うとくさい言葉も中村君が言うとそう聞こえない。


「人の為につく嘘か。なんかかっこいいね。例えばそれってどんな嘘?」



中村君は少し考える様子を見せ、


「例えば、友達と同じ人を好きになって、好きな人は友達のことが好きな時とか、」

そう言った。



「それ苦しいやつだぁ。今の私のことじゃん。私が桃ちゃんに悠人のこと好きって言えてないし。」

中村君なんて酷な例えをしてくるんだろう。


今の私そのものだ。

すごいわかりやすいけど、自分に置き換えて考えると胸が痛い。







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