16% jsdr
部活に出ればパスの相手はいなかった。

悔しくなかった。
苦しかった。

家に帰れば、お母さんの作った晩ご飯。
それさえも、あたしには見せかけにしか思えなかった。
毎晩続く、両親の喧嘩。
理由くらい、すぐに理解した。学校でまともに生活できなくなって、成績が落ちないわけなかった。

耳を塞いでも胸に響く怒鳴り声と足音が吐き気を誘った。

吐き出しても、終わりはなかった。涙と同じだ、そう思った。

学校に行きたくなかった。

家にも居たくなかった。

必死に消える理由を探した。死にたかった。
でも死にたくなくて、生きる理由と死ぬための理由を数えた。
断然生きる理由は少なかった。

夜家を抜け出すのが、当たり前になった。冬は寒かった。涙で塗れていくコートの袖と、足下に積もった雪が、寒かった。
ここで寝たら、死ねるだろうか。本気で考えて、家に帰った。
< 2 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop