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溢れそうになる涙を堪えて、あたしは言った。

「ありがと」

本当にそう思っていたかは、今でも分からない。
左手に違和感が残った。

佑也とは違う、暖かい手の隆平。優しい目。社会人らしい言葉遣い。
全部を佑也と比べた。

「寂しい時はいつでも飛んでくるから」

優しい人。
あたしの中で、最後までそれ以上になることはなかった。

それでも、隆平をみようとして佑也との記憶を遠ざけた。過去をなかったことにしようとした。

秋、隆平の地元に行った。
あたしの地元と違う、華やかな街並みを2人で歩いた。

そのまま、あたしの中の佑也は消えていくつもりだった。
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