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「麻衣、ちょっとごめんな」

「何?」

「話し戻すけどさ、しゅんのこと……」

隆平は泣きそうな時はいつも言葉がつまる。
分かってたから前だけ見て、隆平の言葉の続きは待たなかった。

「わすれねーよ?」

「……俺が言いたいこと分かってくれたんだ」

分かったよ。『何が』って言うのは分からなかったけど何か分かった。

「なんか気に食わないけど、ムカつくけどさ、あたしにとってしゅんもりゅーちゃんも大事な仲間だから。絶対に忘れない」

もう少しで本当の別れ。あたし達の最後は今日だ、って思った。
お互い最後の強がり。車が走る道が帰路になってることにお互い触れなかった。

「ありがとな」

「ありがとね……りゅーちゃん、ここでいいよ。歩いて帰れるから」

最後のベルはどちらかが鳴らさなきゃいけない。隆平も否定はしなかった。
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