好きって言えよ、バカ。
「蓮兄、絃ちゃんに何したの!?」
私が何も言わずにいるからか、矛先は蓮くんへと移る。
蓮くんは面倒くさそうにしながらも、フライパンで餃子を焼いていた。
餃子を綺麗に並べて、少し水を入れて蓋を閉め、蒸し焼きにしていく。
ひと段落したタイミングで、蓮くんが口を開いた。
「別に、こいつにキスしただけ」
「えぇ!?」
「さすが女遊びしてただけあるね」
「うるせぇよ、雅。別に俺は誰にでもキスしてるわけじゃねぇし」
……えっ?
蓮くんのことだから、誰それ構わずしたことあるんだと思ってた。
「おい、絃。早く箸とか並べろよ。雅と葵も荷物片付けて来いよ」
「はいはい。葵、いくよ」
蓮くんの指示で、パタパタと2人がリビングから出ていく。
私も言われた通り、箸や食器類を食卓テーブルに並べていった。