好きって言えよ、バカ。






「よいしょっと……」



夏祭り当日。



夜の花火を目掛けて、夕方からお祭りに行くことになった。



3兄弟とお祭りに行くことになったことを瞳に電話で伝えると、



『絶対に浴衣を着て行きなさい』



と助言を受けて、去年の夏に瞳と買いに行った白地にピンクやラベンダー色の花の模様が入った浴衣を、クローゼットの奥から取り出す。



佐伯家にお邪魔することになった日、当分着ることはないだろうと奥にしまってあったんだ。



着付けは去年お母さんに教わったから、なんとなく覚えている。



覚えているとはいえ、慣れない着付けは時間がかかるから、少し早めに着ることにした。



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