好きって言えよ、バカ。




抗議に出てきたのは、会場についてわたあめを頬張っている時。



ベンチに座りながら、一つの大きなわたあめをみんなでシェアしながら食べる。



「別に俺ら、言わば敵同士だろ?譲る気はねぇよ」



蓮くんって……



対抗心がある時は、素直なことが多いかもしれない。



その度に私は、心臓が破裂してしまいそうだけれど。



「それは僕だって。絃ちゃんを譲る気は無いね」



そう言って葵くんは私の隣を陣取る。



雅さんと蓮くんはそんな私たちを取り囲むように立っていた。



「じゃあさ、こうしない?」



「んだよ」



「絃ちゃんさ、あのぬいぐるみ欲しいんでしょ?」



突然雅さんが指さしたのは、近くにあった射的の屋台に置かれた、景品のクマのぬいぐるみ。



確かに通りすがりだったけど、可愛いなって思って見てたんだ。



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