好きって言えよ、バカ。
やっぱり夏の恒例かつ最大のイベントの夏祭りは、多くの人が集まる。
ちなみに、私と蓮くんの手は未だに繋がれたままだ。
「あの手を……」
「絶対お前のことだから迷子になるだろーが。大人しくしてろ」
そう言われて、何度も声をかけたり振り払おうと試みても、男の子の力でしっかりと握られた私の手は、逃れることは出来ない。
そんな私たちを見て、葵くんは家を出てからずっと文句を言っているし、雅さんは後ろでため息ばかり。
なんか……楽しいはずのお祭りなのに、空気がピリピリしてる気がするよ。
「ねぇ、蓮兄ばっかり絃ちゃん独り占めしてずるくない?」
「まぁ、そうだね。俺もそう思う」