好きって言えよ、バカ。
瞳はそう言うけれど、だからこそ返されるのが怖い。
もし思うような結果が出ていなかったらと思うと……
せっかく学校終わりに、バイトの時間以外は付きっきりで教えてくれたのに、申し訳ない。
「……あれ?」
「ん?どうしたのよ」
「シャーペンが無くて」
……どこいったんだろう?
筆箱の中を探しても、こぼれ落ちていないかカバンの中や机の周りを探しても見当たらない。
「絃ったら忘れ物?もう、しっかりしなさいよー」
「あははっ」
ずっとカバンの中に入れてあったし、忘れたってことはないと思うんだけどな。
なんでだろう。
もしかして、もうボケ始めちゃった?
まだ高校生なのに、おばあちゃんみたいじゃない。
「はい、今日はこれ使って?」
「ありがと、瞳ーっ」
その日は、瞳に借りたシャーペンで1日を乗り切った。