好きって言えよ、バカ。
「……っ?」
布団の中で震えていると、布団の上から誰かの手が乗せられた。
誰かって言っても、この家には奴しかいない。
「蓮、くん……?」
声にならない声で、そう問いかける。
「あぁ。大丈夫かよ」
「んん、大丈夫じゃないっ」
見えていないのに、全力で首を横に振る。
怖いものは怖い。
今は蓮くんにあーだこーだと言っている余裕はない。
「すぐに止みそうにねぇな」
ゴロゴロゴロゴロ
「きゃあっ」
蓮くんがそう言った途端、ほぼ同時に鳴った大きな雷。
ギュッと布団を握りしめて、丸くなる。
その間もずっと背中をさすってくれていた蓮くん。
その手はとても優しかった。
「……仕方ねぇな。怖がりのお前のために今日は一緒にいてやるよ」
「いいもん、大丈夫だも……ひぃーっ!」
「そんなに震えながらよく言えるよな。いいからお前は黙って寝ろ」
それからの記憶は、ほとんど無い。
次目を覚ました時には、もう昨日の夜の雷雨が嘘かのように、日が差し込む朝だった。