好きって言えよ、バカ。




「……ごめん、お待たせ」



突然、有無も言わさずに誘ってきたのは蓮くんだから、謝る必要は無いかもしれないけど……



「……っ、あぁ。行くぞ」



「何よ、その間」



私の姿を見た途端、固まっていた蓮くん。



返事が返ってくるまで、変な間があった。



「別に、なんでもねぇよ」



変なの。



心なしか、蓮くんの耳が少し赤い気がする。



「ねぇ、どこ行くのよ」



「楽しいとこ」



楽しいとこ……?



それじゃあ全然答えになってないじゃない。



選択肢が多すぎて、わからない。



私より少し前を歩く蓮くん。



いつも見てたけど、やっぱり私服姿の蓮くんもかっこいい。



悔しいから、絶対に言ってあげないけど。



こんなイケメンな人と一緒に歩いてる。



ましてや、一緒に住んでいる。



きっとそれって、自慢できることだよね。



女の子なら誰でも羨ましがること。



私って実は、幸せなんだろうか。



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