好きって言えよ、バカ。




愉快な音楽が聞こえてきたその場所は、遊園地。



「付き合えって……ここ?」



「あぁ。お前、遊園地嫌いか?」



「ううん!好き!」



まさか行き先が遊園地だなんて思わなくて……



それならワンピースじゃなくて、もう少し動きやすい格好にしてきたらよかったかも。



少し後悔しつつも、まさかの遊園地でテンションはマックスだ。



「ほら、手」



「……へっ?」



ずっと差し出される、蓮くんの手。



「どうせお前の事だから、迷子になるだろ?」



「なっ、私はそんなに子どもじゃないっ」



なんかこんなやり取り、いつだかもした気がする。



うーんと考えて、思い出した。



雅さんと水族館にデートしに行った日だ。



雅さんにも蓮くんと同じことを言われて、同じことを返した気がする。



やっぱり似た者、兄弟なんだ。




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