好きって言えよ、バカ。




「おい、お前誰?」



「ちっ、彼氏いんのかよ」



……た、助かった?



今回のナンパ男は、あっさりとしていて蓮くんが声をかけたらすぐに遠くにいた仲間とどこかへ消えた。



「はぁ、お前油断も隙もねぇな」



そうため息をつきながら、買ってきてくれた水を渡された。



「ありがとう」



ゴクリと一口飲むと、少し落ち着いた。



「前もこんな事あったんだ。雅さんと水族館行った時もナンパにあったの。こんな可愛くもない平凡な私をナンパするなんて、物好きな男の子たちだね」



私がそう言うと、隣で蓮くんが盛大にため息をついた。



「本当、バカ。何もわかってない」



「なんでそこまで言われなきゃなんないのよ」



「あのなぁ……はぁ」



何よ、そんなにはぁはぁため息ばっかりついて。




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