好きって言えよ、バカ。




「文句あるなら直接ちゃんと言ってよ」



「だから……お前は可愛いって言ってんだよ」



「……っ」



顔を背けて、言う蓮くん。



不意打ちなんて、ずるい。



「な、何言ってるの蓮くん。冗談はやめてよっ」



やっとのことで口に出せた言葉も、顔を上げて声に出すことは出来ない。



「っ、冗談じゃねーよ」



蓮くんもそれは同じく、そっぽを向いていた。



いつもそんなこと言わないくせに……



こういう時だけ。



「……なーんてな。次お化け屋敷行くぞ」



「は、はぁっ!?」



嘘?



……全部、嘘だっていうの!?



ありえない。



バカ、バカ蓮くん!!



しかも、お化け屋敷は私の中で苦手なものランキング第2位。



雷の次に苦手なもの。



嫌、ありえない!



「む、無理だから。絶対、嫌ーっ!!」



「ふっ。決まりだな」



「いやぁ〜」



結局そのあと私は、半泣きのままお化け屋敷に連れていかれることになった。



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