契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
夜、学会に行っていた悠さんはいつもよりも早い時間に帰ってきた。

「スーツは肩が凝るな」

煩わしそうにネクタイを緩める悠さん。

「お疲れさまでした。慣れない場所は疲れますよね」

「ああ」

普段は白衣の下には動きやすいシャツを着ている。

スーツ姿は新鮮だけど、悠さんはすぐにジャケットを脱いでしまった。

もう少し見ていたかったな…

「ご飯、準備できてますよ」

「それより凛の補給が先だな」

キッチン行こうとしたら腕を引っ張られ、悠さんの顔が近づいてくる。

「あっあのっキスはやめといてくださいっ」

思わず声をあげると、悠さんはピタッと止まった。

「なんで?」

「ちょっと喉痛くて…熱とかないんですけど、悠さんにうつしたら大変だから」

喉が痛いのは本当だけど、菊川先生のことがあるから、今はあまりそんな気分になれない。

「そうか」

残念そうな悠さんはしゅんとしていていつもよりかわいい。

「大丈夫か?他に具合の悪いところはないのか?」

「はい。事務室が乾燥してるのかもしれないし」

「悪化したらすぐ内科に来いよ?」

「はい」と返事をしてみたもののあんなに患者さんがいっぱいいるのに、ただの風邪で内科になんかかかれない。

市販薬でじゅうぶんだ。


< 135 / 175 >

この作品をシェア

pagetop