契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
先生がシャワーをしている間に食卓に料理を並べる。

部屋着で戻って来た彼はテーブルを見て、「お」と声を出した。

「今日はちゃんと食べられそうだな」

手を顎に当てながらいたずらな笑みを浮かべる先生に、苦笑いを返した。

「昨日は初めてのIHヒーターで火加減がわからなかったんです。今日はけっこういい出来かと…」

昨夜、「これからは主婦になるんだし!」と張り切って料理を始めたものの、IHヒーターなんて使うのが初めてだったから、焦げついて散々な出来栄えになってしまった。

いや、IHヒーターに罪はない。

私が料理を作ること自体に不慣れで手際が悪かったというのが本当のところだ。


先生はクスクス笑いながら食卓に着く。

「凛もおいで」

…なんだか甘い気持ちになる。

名前を呼ばれることにまだ慣れていないのもあるけど、しゃべり方も表情も病院にいる時よりやわらかいからかな。

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