契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
「あっ、油井さんっ」

油井さんは入職二年目の若い男性看護師で、私を見つけて怯んだように足を一歩下げた。

「患者さんの食事の話をしたいんですけど、皆さん答えてくれなくて…
なんでですかね…」

油井さんは困った顔をしながら声を潜める。

「内科って風間先生ファンのナースが多くて…多分、相沢さんがこの病棟を担当するのをよく思ってないんだと思います。俺も食事には詳しくないし、協力してあげられないです…すみません」

気まずそうにそう言うと、ナースステーションにいる女性陣を気にするように足早に去って行った。

そんな…

美咲の言う通り、私は『みんなの風間先生』っていう暗黙の了解を破った悪者ってこと?

だけど、仕事は個人の感情とは関係ないのに。

ぐっと唇を噛んだけど、誰もなにも答えてくれない以上、私に成す術はない。

仕方なくいったん事務室へ戻った。

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