契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
「凛!!」

突然大きな音がしてドアが開いた。

走ってきたのか、肩で息をしている悠さんの姿が目に飛び込んでくる。

「悠さ…」

上村先生の襟首が掴まれたと思ったら、その姿はすぐに私の視界から消えた。

悠さんが思い切り殴った上村先生は、床に尻もちをついている。

悠さんは屈んで私の頬に手を当てた。

「大丈夫か?」

「悠さん…」

悠さんは身体の強張りが溶けた私を自分の胸に引き寄せ、立ち上がった上村先生を睨みつける。

「…今、妻になにをした」

「なにって見ての通りですけど。
俺のほうが風間先生よりキスがうまいって教えてやりたくて」

悪びれる様子もなく肩をすくめる上村先生の襟首を、悠さんはもう一度乱暴に掴んだ。

「なんでこんなことをするんだ」

「女嫌いの風間先生を落とした相沢さんに興味があったんですよ。
相沢さんの気持ちが俺に向いたら、風間先生はどう思うかなって。
相沢さんをオトす自信もあったし」

「ふざけるな。
気に入らないことがあるなら俺に直接攻撃しろ。
凛を巻き込んで傷つけるのは許さない!」

悠さんが語気を荒げた。

こんな状況なのに甘い気持ちが広がって苦しくなる。

私も負けじと上村先生を睨みつけ、たたきつけるように言い放った。

「私、絶対に上村先生なんか好きにならないです! 
自意識過剰でナルシストでこの世の誰よりも大っ嫌いなタイプ!!」

上村先生は驚いたようにあんぐりと口を開ける。

私の言葉が相当ショックなのか、放心状態だ。
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