ブラックサンタクロース


手荒に、カラダに、触れられる。


「助けて、とか言わないんだ?」

「叫ばれても困るけどな」

「でもさ。無抵抗だと盛り上がんないだろ」

「それもそうだね。ほら、聞かせてよ。可愛い声」


わたしを殺す気はないらしい。

嫌がるようなことをするのが最大の目的だ。


「今夜はたっぷり可愛がってあげる」

「クリスマスイヴだしね」


1年で最も楽しみな日の夜に、

こんなことに巻き込まれるなんてね。


「にしても反応なさすぎ」

「欲しいもの、ある?」


(……欲しいもの?)


「なんだお前、気分はサンタかよ」

「まあ。俺、なんにもあげないけどね?」

「あはは。最低かよ」

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