ブラックサンタクロース
もっとも、俺が頼めばなんでも喜んで聞きそうだが。
莉音は俺と生きるが
それが、莉音自身の人生だってことを絶対に忘れてはならない。
「優しくしてあげましょうよ。あの子、中学生くらいっスか?」
「高校生だ」
「え!」
やはり莉音は実年齢より若く見えるらしい。
俺といたら。完全に親子だな……。
アマリは親子でなく恋人みたいだと言ってきやがったが。
あいつもたまにはイイコト言うな。
「理由もなしに『帰れ』なんて――」
「それじゃあほんとのこと言えばよかったか」
「それはっ……、守秘義務もありますし。大騒ぎになりかねないので、言えません」
「だったら黙ってろ」
「すみません。しかし……」
「まだなんかあんの?」
「めちゃくちゃ可愛い子っスね。アイドル並みに」
「!」
「さすが羽山さんの親戚」
「……うるせぇ」
「心配になるのもわかります」
上原が微笑む。
「感情的な羽山さん、初めて見ました」
俺が、感情的……?
「ほんとに親戚ですか〜?」
「は?」
「いや、だって。あの子の羽山さんを見る目が、乙女でしたから」