いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~


まあ、瞼なんて腫れてるし、チエミちゃんも小さな子供じゃないのだ。

気づいて当然だろう。

私は誤魔化すことなく頷いて苦笑した。


「ごめんね。色々あって。強くならなきゃね」


今はまだ、取るべき行動も、選ぶべき道も見えてないけれど。

どれを選ぶとしても、受け止めて、進まなければ。

そう思い、息を吸い込むとチエミちゃんがゆるゆると首を横に振った。


「弱くていい」

「え?」

「弱いから、人に優しくなれるんだってママが言ってた」


ああ、そうか。


「うん、そうだね」


弱いということは、痛みを知って臆病になるから。

痛みを知れば、人が同じ痛みで苦しんでいた時に理解し優しく手を差し伸べられる。

私も、そうありたい。

弱くていいから、少しずつでも進める私でありたい。


「それ食べて、元気出してね」


にっこりと笑うチエミちゃんにもう一度お礼を言って、私は家の中に戻る。

コトリとテーブルにタッパーを置いて、息を吐き出した。


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