いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~
花の名前は書いていなかったけど、届けてくれたお花屋さんの女性が気さくな人で、『ゼラニウムは私も好きな花なんです』と、笑顔を咲かせて教えてくれた。
ゼラニウムの花言葉は「尊敬」「信頼」「真の友情」。
きっと、信頼していると伝えたいのだろう。
いち君の綴った文字を眺め、私はゆっくりと溜め息を落とした。
お見合い相手として再会したその日にプロポーズをされて、好きになって欲しいと努力してくれる幼馴染。
彼は時々、昔からずっと私を想い続けてくれているような言い方をする。
最初はリップサービスかと思っていたけど、いち君の様子を見ていると、本当なのではと思うようになってきていた。
『俺の本気を確かめて』
再会した日に言っていた彼の言葉。
言われた時は戸惑いしかなかったけど、今は……信じ始めている、というより"信じたい"と思っている。
彼が本当に、私と結婚したいと思ってくれていることを。
そこにある気持ちを。
そして、私もまた一つ認めなければならない。
『誰にも渡さなかったのに』
吐露された独占欲を嬉しく感じ、同じように思うほど、再び、いち君に惹かれ始めている自分がいることを。