誰がサンタクロース





「サンタクロースは、いるんだよ」


隣を歩くトモキは、たしかにそう言った。


今日は12月24日。世間で言うところの、クリスマス・イブというやつだ。


付き合い始めてそろそろ1ヶ月経つわたしとトモキは、もはや習慣のように一緒に学校からの帰り道を歩く。


こうして一緒に帰っていると、いっぱしの恋人同士みたいに見えるんだろうけど、わたしたちが付き合うようになるまでに切ない片思いの期間があったわけではない。少なくとも、わたしのほうは。


トモキが一方的に告白してきて、その勢いに面食らって頷いた。断るほど誠意があったわけではない。そのうちわたしに飽きて、勝手に離れていくだろう。惰性に任せるのが、一番面倒がなくていい。そう考えてのことだった。


だから、というわけではないけれど、今日がクリスマスだということに、大して興味がなかった。もともとわたしの家は「クリスチャンでもないのにクリスマスを祝ってやる義理はない」と考えているから、小さい頃から縁がなかったというのが大きいのかもしれないけど。



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