恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
 
 ギクシャクとした動きのままケーキを取り分けて、一緒に食べた。
 前以て千紗子さんに聞いておいた人気の洋菓子店のケーキなのに、味が良く分からないまま何とかケーキを食べ終えてコーヒーを飲んだ。いつも以上に丁寧に落としたコーヒーは冷め切っていて苦かった。

 ケーキを食べ終えた後片付けを終わらせて、誕生日会はお開きとなった。
 「おやすみなさい」の挨拶を済ませてから、各々の部屋に戻ってから、いつものようにゲスト用のシャワールームを使ってから、ベッドに戻った。

 「はぁぁぁ~……」

 ベットに仰向けに寝転んで深い息を吐きだした。

 「修平さんはなんで私にあんなことをするんだろう……」

 広い客室に私の呟きだけが落ちる。
 気付かない間に、外は強い風が吹きだしたみたいだ。窓ガラスに強風当たる音がカタカタと鳴る。

 「私のことからかって遊んでるのかなぁ」

 私のことをからかう時の彼のちょっと意地悪そうな笑顔を思い出した。
 その笑顔と、さっきの彼の表情は全然違っている。
 どちらかというと、少し苦しそうな顔をしていた。その彼の吸い込まれそうな瞳の奥の光を思い出して、私は思わずギュッと目を瞑った。
 思い出すだけで胸がドキドキと忙しなく音を立てて、顔が赤くなってくる。

 私、いったいどうしちゃったんだろう…?

 両手で顔を覆って唇を噛んだ。
 私の心の中にも春の嵐が吹き荒れている。

 ベッドの上で一人ジタバタとしていると、「トントン」と小さなノックの音が聞こえた。

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