恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
 杏奈の体を抱き止めた瞬間、頭の中が真っ白になった。
 慌てて俺から離れようとする彼女を、腕の力を込めて阻む。
 少しの隙間もなく抱きしめた彼女からは、俺を誘っているようないい匂いがする。柔らかな体はこれ以上腕に力を入れてしまえば、簡単につぶれてしまいそうだ。

 これ以上はもたない……

 理性の限界を感じて、そっと杏奈を離した。
 案の定、彼女の顔も体も真っ赤に染まっている。
 これ以上その赤さを見ていたらダメだな、と思って、彼女の代わりに水を取りにキッチンへ向かった。

 彼女の顔からすぐに背を背けた俺は、その時杏奈がどんな顔をしているのか全く見ていなかった。

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