恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
『制限』への抑止力が薄まることを危惧してこれまでお酒を飲まないようにしていたのに、ここに来てそれを破ってしまったなんて、俺も浮かれてたんだと思う。
俺は早速アルコールを採ってしまったことを後悔し始めていた。
アルコールの威力が恐ろしいほどに効いてくる。俺の自制心に、いうよりも杏奈の破壊力に。
彼女はいつもと同じように振る舞っているつもりなのだろうけど、ハッキリ言っていつもの何倍も隙がある。
たぶんいつもは俺に対して少し『緊張感』を持って接しているのだろう。でもアルコールのせいか、彼女の雰囲気がとても緩い。リラックスしてニコニコと話す姿を見ているだけで、抱き寄せてその小さな唇にキスしたくなってくる。
嗚呼、なんて美味しそうなんだ。
まるでケーキを前に、『早く食べさせて』と強請る子どもみたいだ。
これ以上は理性が持たない、と思った俺は、杏奈に「顔が赤いよ?大丈夫?」と心配する態で、飲みすぎを促した。案の定彼女は「飲み過ぎちゃったかなぁ」と言って水を取りに立ち上がった。
だけどその時、足をもつれさせた彼女が転びそうになった。俺は反射的に椅子から身を浮かせ、彼女に腕を伸ばした。