恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
 
 少し考えこむようにしていた千紗子さんが、「じゃあ、それ以降は?」と聞いてきた。

 「それ以降は………ありません。」

 「え!?」

 「初恋以降、誰かを好きになったことはないんです。」

 私がそう言うと、千紗子さんは目を丸くしている。二の句を告げないみたいだ。
 
 初恋は叶わなかったけど、私には恋をする必要なんて無かった。父が私のことを可愛がり甘やかしてくれたから。社会人となった今だって、父と出かける時には腕を組むこともある。

 少しだけ黙っていた千紗子さんが、「ふぅ~」と短く息をついた

 「私の意見じゃあまり参考にならないかもしれないけど、」と前置きを付けてから言った。

 「初恋が実らなかったのは残念だけど、でもちゃんと『ドキドキ』したり『嬉しかったり』したんでしょ?小さな頃にそうだったから今も『ドキドキ』は恋の入口じゃないかしら?でも、初恋と違う気持ちが芽生えたら本当の『恋』になるかもね。」

 「『違う気持ち』?」

 「そう、『嫉妬』とか『独占欲』とか。『彼を他の人に取られたくない』と思ったら、それはやっぱり『恋』じゃないかしら?」

 「『他の人に取られたくない』……ですか?」

 「そうね。他の誰かに譲ってあげられるくらいなら、それは『大人の恋』ではないと思うわ。」

 「……考えてみます。」

 
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