恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
 しょんぼりと項垂れる私に「良かったら食べて。」と千紗子さんが自分の手作り弁当からおにぎり一つと玉子焼きと唐揚げを蓋に乗せてそっと私差し出してくれた。

 「ありがとうございます!!」

 美味しそうなお弁当にキラキラと目を輝かせてお礼を言うと、千紗子さんは「どういたしまして。」とにっこり微笑んでくれた。まるで聖母が微笑んだような美しさに、同じ女性ながら見惚れてしまった。

 千紗子さんからもらったおかずを味わいながらその幸せそうな顔を見て思わず溜め息がもれて

 「あ~あ、千紗子さんの旦那様は良いなぁ。こんな美味しい愛妻弁当が毎日食べられるなんて羨ましい!」

 千紗子さんは去年結婚したばかりの新婚さんなのである。お相手は同じ市立図書館の上司で、私が就職した時にはこの中央図書館から市内の分館に異動になっていたので、私は直接の面識はなかった。
 でも、時々会議や用事でこちらの中央図書館にやってくるので姿は見かけたことがあった。
 はっきり言ってものすごいイケメンさんである。千紗子さんと並ぶと文句の付けようのない美男美女カップル、という感じだ。
 
 おかずを味わいながらそう言った私に、千紗子さんはほんのりと頬を染めながらもしっかりと反撃してきた。

 「あら杏ちゃん、羨ましいのは『お弁当を作って貰えること』なの?」

 彼女は少し目を細めてからかう様に笑う。
 
 思わず素直に「……素敵な旦那様がいらっしゃることもです。」と答えた。
 「私今まで本ばかり読んでたし、大学は女子大だったから男性ってちょっと苦手なんです。なので積極的に出会いを求める気にもなれなくて……」

 「あら?『出会い』なら今朝あったじゃない?」

 さらりと千紗子さんに言われて「ドキッ」とした。

 「あっ、あれは親切な方に助けて頂いただけでっ」

 「素敵な男性だったんでしょ?」

 「………はい………」

 一言、答えるだけで顔が真っ赤になるのが分かった。恥ずかしくてメロンパンを咥えて俯いた。

 「ふふ、可愛いね杏ちゃん。またその彼に会えるといいわね。」

 ふわり、と優しく微笑む千紗子さんに無言で頷いてメロンパンを飲み込んだ。
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