溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~

「私は八神と申します」

 って、まさか八神家の親類!?
 そうだとしたら、運転手付きの送迎があっても不思議じゃないし、多忙な様子がうかがえるのも納得だ。

 でも、そんな人が私に謝罪をするために時間を使ってくれるとは思えなくて。
 私より、接待の方が何百倍も重要だと判断するのが当然なのに……。


 緩やかに速度を落として停車すると、外からドアが開けられて八神さんが降りた。
 彼に続いて私も外に出ると、そこは超一流の五つ星ホテルの前だった。


「今日はもう休んで構いません。混む時間ですから、道中気を付けてください」

 運転手にそう告げた彼は、私の背中に触れないように手を添えてエスコートしてくれる。


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