溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~

「家でも仕事をする男って、咲の好きな人の話?」
「別に、そういうのじゃありません」

 意地悪な微笑みを向けられても困る。
 奈緒美から聞いた話でしかないし、私は八神さん以外の男性の部屋に上がったこともない。
 だから、不意に抱きしめられたり耳元で囁かれると、どうしたらいいのかわからなくなる。


「じゃあ、この生活をしてる間は、俺以外の男と会わないでくれる?」
「……そもそも、そんな相手はいません」

 私ばかりがドキドキさせられてて、なんだか悔しい。
 彼にとっては、数多いる女性のうちのひとりで、用が済めばこの生活もあっさり解消するのだろう。


「ついでに、咲の頭の中を、俺でいっぱいにしてくれたら嬉しいんだけど」

 出来上がった料理をダイニングテーブルに並べていると、彼は私をからかうように笑った。


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