溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
向かい合ってダイニングで食事を取る。
彼は、私の料理を美味しいと言ってくれたけど、日頃贅沢な料理を口にしている彼が、満足しているかは自信がない。
「そういえば、今朝渡した連絡先、登録してくれた?」
「はい」
「いつでも連絡してきていいからね」
「分かりました」
私の携帯に、彼の連絡先を登録するなんて現実味がなかった。
だけど、彼のことを遠くから見ているだけの片想いを続けていたら、こんな生活はしていないはずで。
「あの、聞きたいことがあるんですけど」
「なに?」
「いつまで私はここに住んだらいいのでしょう? 自宅もあるので、あまり長居するのは」
「俺の気が済むまでかな。じゃないと、意味がない」
彼を怒らせてしまったのは私。それは認めるけど、そもそも八神さんの悪評があるからであって。
……なんて、口が滑っても言えない。
また彼の機嫌が悪くなったら、この生活の終わりが先延ばしされそうだ。