溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
「そうか、それならいい。本当にいいお嬢さんに巡り合えて良かった」
「そうですね。私もひと安心です、父上」
二人は、まったく疑うことなく信じきっている。
それほど、今までの彼の私生活がいい加減だったのかもしれないし、こうして紹介するようなこともなかったんだろうな。
だけど、嘘をつき通そうとする彼には、一層不信感が募った。
「なんにしても、早く自宅を持って、生活を落ち着かせることだ。いいな、一誠」
「わかりました」
それから三時間ほど、ホテル内のレストランで食事をして、二人を見送ってから部屋に戻った。
「八神さん、どういうことですか!?」
「まぁ、そう怒らずに。ちょっと座って話そう」
ただ面会するだけと聞いていた私は、入籍だとか新居だとか、愛を育むだとか……。絶対に撤回できない展開に憤慨する。
彼はというと、いつもと変わらぬ冷静さで、穏やかに私を嗜めてソファに座った。