溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~

「まったく……。三藤さん、息子はワガママばかり言うと思いますが、あなたが八神の籍に入ってくださるのを心待ちにしておりますよ」
「えっ、あのっ……」

 彼の父親に直接入籍を急かされたようで、戸惑ってしまった。
 ここでいい返事をしたら、私まで嘘つきになってしまう。ふたりも彼のことが心配だから、あれこれ手を尽くしているはずなのに……。


「八神さん、実は……っ!!」

 良心が痛み、真実を打ち明けようとすると、勢いよく彼が私を抱きしめてきた。


「彼女と出会ったばかりで、ご両親に挨拶も済ませていないんですよ? お願いですからそんなに急かさないでください。二人のペースで愛を深めていこうとしているんですから」


 愛を、深める……って、えぇっ!?
 堂々と宣言されて腕の中で驚いている私をよそに、彼はいたって冷静だ。


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