溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
「……参ったな」
なんとなく冷たい声色が隣から返されて、私は車窓を眺める余裕もなく俯いた。
「ご、ごめんなさい! 今のは私が言いすぎました」
「えっ!? どうして咲が謝るの?」
「八神さんなりに、色々考えてくれているのは分かるんです……」
だけど、きっとすぐに解消されるこの関係に、彼が誠意を見せようとしてくれるのが不思議でならなくて。
「なので、八神さんが怒るのも当然で……っ!?」
赤信号でブレーキを踏んだ彼は、小さくため息をついた。
そして、おもむろに私の顎先に指が掛けられ、俯いていた顔が引き上げられる。
私の瞳に映ったのは、眉尻を下げて、心なしかしゅんとしている彼だった。