溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
地上階に到着したアナウンスが流れ、ドアが左右にゆっくり開いた。
彼と住んでいるホテルのロビーほどの広さはないけれど、十分贅を尽くした空間が目の前に広がっていて、つい見渡しながら彼のあとについて歩く。
「すまない、急に予定を空けてもらって」
「気にするな。……それより、お隣は?」
八神さんは、いくつか置かれているソファセットで寛いでいた男性に話しだした。
「三藤 咲さん。Stationiaで働いているんだ」
「はじめまして、御門(みかど)と申します。彼とは学生時代からの友人です」
丁寧に挨拶をしてくれた男性は、私に名刺を差し出した。
でも、受け取った私は、御門建設の社名と副社長の肩書に、改めて会釈をするのが精いっぱいだ。
「ここで話すのも落ち着かないだろうから、早速案内するよ」
まさか、うちの本社ビルも施工した国内最大手のゼネコンの副社長と友人だなんて……。
八神さんの交友関係の広さと、彼の家柄の良さを改めて実感させられた。