溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~

 言われてみればと先日の出来事を脳内でプレイバック。

 見ず知らずのおじさんに日本酒をかけられて、八神さんが助けてくれた。
 何度か断ったものの、彼の気が済まないからと浴衣の着替えを用意してくれて……シャワーを浴びるように言われて。帰らないようにと念押しされた後に、美味しい白ワインで酔ってしまって……八神さんがベッドに運んでくれたんだった。


 ――そして、翌朝目が覚めたら、なにも着ていなくて。


「咲のことだから、いくらオオカミ御曹司が相手でも危ない目には遭わないだろうって安心してたけど」
「う、うん……」
「連絡しようとは思ってたんだよ。でも、みんなと盛り上がっちゃってたからさ。ごめんね」
「ううん、大丈夫」


 危ない目に遭いました。
 彼の術中にまんまとハマって、手のひらで転がされて。

 キス以上のことまで許したつもりはないのに……。


< 50 / 210 >

この作品をシェア

pagetop