例えば、XXとか。

優雅と手を繋ぎ歩く。

沢山の人や屋台、賑やかな新年。

そして複雑な思いで少し離れた所から二人を見守る碧斗と滉。



時間は深夜一時。

寒さが増し、雪もチラついてきた。



「 俺車だから送るよ、少し歩くけど平気?」

「 うん。ごめんね、友達と来てたのに…… 」

「 あ~ いいのいいの、あんなのほっとけば。男とより、可愛い女といる方がいい新年だよ 」



なんか、優雅君が違う人みたい。

トゲが取れたような… 優しい人。



思わずクスクス笑ってしまう。

それを見て優雅がなぜ笑うのかと聞くが、私にはその急な変化が少しおもしろくて笑っていたのだ。



「 なぁ、何がおかしい? 」

「 なんでもない、あ!ベビーカステラあるよ、食べたいな~ 」

「 じゃ、買ってあげる、行こ! 」



優雅は伊織が笑うのを見ていてホッとし、一緒にいられるのを嬉しく思っていた。

卑怯なやり方で繋ごうとした自分を恥じ、今、伊織を好きになっている事を認識していた。



碧斗には敵わない…

でも、俺も譲らない。

本気で奪いに行く、今度は…俺自身で。



「 甘い匂いだな、一口くれる?」

「 いいよ、どうぞ 」



一口カステラをもらう優雅の屈託のない笑顔、それを見ていた碧斗と滉……



「 碧斗、優雅の奴…… 」

「 だから、本気で渡さないっ 」







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