例えば、XXとか。

本当は碧斗と迎えるはずだった新年。

その願いは叶わず……

心に秘める思いは強くなるばかり。



「 始まった、伊織ちゃんカウントダウンだ 」

「 うん!」



私の現実が確かなものになる。



「 あけましておめでとう!伊織ちゃん 」

「 おめでとうございます、優雅君 」



今年も改めてよろしく……


笑顔で新たな年を跨ぎ迎えた。

碧斗、滉もこの時すでに近くにいて私と優雅を見ていた。

それは静かな困惑の目で、見ていた。




「 碧斗、またよろしく 」

「 ああ、面倒かけんなよ 」

「 なんでそうなる! ……けど、優雅の顔が最近までと違う、ヤバイかもな 」

「 優雅に伊織を譲る気はない、誰にもな… 」



影でそんな会話があったなんて知るよしもなく、私は碧斗を思いながら優雅と一緒に鐘を鳴らしに行く。

愛する人と鳴らす鐘は遠くへ響き、神様の身守を得て幸せになる……

そんな言い伝えがある。


その鐘を、私は何も考えず優雅と一緒に鳴らした。



私の新しい年はどんなだろう……


どうか、碧斗と一緒にいられますように。






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