例えば、XXとか。

ムカつく…

碧斗は男だし、わかるわけない。

私の高級石鹸……

あんな見事に割れるなんて……




あれは2ヶ月前の事。

口コミから広まりあまりに人気で売り切れで通販ですら手に入らなくなった高級艶シルキー石鹸。

欲しいと思ってても無いものは手に入らない。

それが、数量限定で私のバイトするドラッグストアにも入った。

値段は3000円、母と二人暮らしの私には服同様、買うには悩み倒す値段。

でも欲しいかった、どうしても、今の肌をキープするために日々努力するためにも欲しい。

だから、店員であるのを逆手に一番に手に入れた。

お一人様一個まで。

それを、大切に使ってきた。

なのに……

碧斗に使われ、割れて、悲しい。

たかが石鹸、私には最高級の石鹸!



「 買ってやるとか、無理! もう販売してないんだから買えないのっ
私にとってダイヤみたいに貴重な石鹸なの 」

「 売ってないなら今ので終りか… じゃ維持も何もないだろ、そんなに怒… あ、いや、伊織…… 」

「 石鹸なくなったら終りとかよくも言ったわねっ 許さないからー!!」

「 待て待て、割れて2つになったって思えば2倍肌も綺麗になるんじゃ… 」

「 ふざけてないで代わりになる高級石鹸買って来なさーい!」




こうして私は怒りのあまり碧斗を追い出した。

浴室で割れた石鹸を手にシクシク悲しみながら肌を磨く。



石鹸……




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