例えば、XXとか。

報われない、自分を見ていない片想いの相手といるのは辛い。

それを、わかっていて気持ちを伝えた上でいる優雅。

一緒に見て回る中で、優雅は密かに何かをしていた。

昼食は温かいうどん、優雅が適当に揚物を頼んだ。


午後2時。



「 伊織ちゃん、この先に花のアーチがあるんだ、行って待っててよ、俺はトイレ 」

「 アーチかぁ わかった、行ってるね 」

「 あ、待った!」



え…… 優雅君?



「 顔、見せて…… 頬冷たいな 」



俺はこの頬を熱くは出来ないんだな……



「 どうかした? なんか付いてる?」

「 付いてる気がしただけ 」

「 じゃあ行ってるね 」



行く伊織の後ろ姿。

優雅は目を閉じ、奪えないものにケジメをつけるつもりでいる。



今より好きになったら俺は……

伊織ちゃんを壊したくなる、俺も壊れる。

今ならまだ… 大丈夫だ。



優雅は目を閉じたまま向きを変えて後ろを振り向かずまっすぐ行く。

唇を噛み締めて……





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