あなたに溺愛
多田くんの執着
翌日。

私は店の買い出しに出かけた。


果物をたくさん買いすぎて、買い物袋からレモンが零れ落ちた。


レモンが落ちた場所は、よりにもよって急な坂の上で。


レモンは重力に従って、コロコロと転んでゆく。


道に落ちた傷だらけのレモンなんて、店で使えないけど、拾って持ち帰らないと迷惑がかかる。


「待って~~!」


レモンを追いかけていると、

坂の下に多田くんが現れ、レモンを拾ってくれた。


私のいるところまで来て、買い物袋に入れてくれた。

「ありがとう……」
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