Miseria ~幸せな悲劇~

「美花………」


メイは唇を噛み締めたままうつむいた。


「お医者さんは私が目覚めたのは奇跡だって言うんです……だけど、私には分かる。本当はお姉ちゃんが私を助けてくれた………」


風花は涙を流したままうっすらと微笑みを浮かべていた。心臓の鼓動を確かめるように風花は手を胸にあてる。


風花は分かっていた。美花の愛が風花を暗闇の底から救い出してくれたことを。


大好きな姉に、美花に望まれて、愛されて、


だから自分は、今、ここで生きていることを。


風花にとってそれ以上に嬉しいことはなかった。


「なんで…? なんでそんな大切なことを美花は……私達に話してくれなかったの……」


メイは涙目になりながら言った。そして、美花の本当の不幸に気づいてあげられなかった自分の無力さに心の底から後悔した。


「きっと、お姉ちゃんのことだから。みなさんに迷惑をかけたくなかったんですよ。試合前のサッカー部の仲間や、大切な親友のメイさん達に……」
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