Miseria ~幸せな悲劇~

「まぁ、頑張った分、戦利品はたくさんもらえたんだよ。部の連中ってそういうところだけは律儀だからさ」


そう言ってメイは鞄の中を漁り、お菓子がいっぱいにつまった袋を取り出した。


お菓子の袋からしてそれはゲームセンターでとったもののようである。


「うわ! すごい量だね!」


祐希は自分の頭より大きいお菓子の束にあっけにとられていた。


「賞味期限が近いみたいだし、頑張って食べちゃわないと」


カロリー換算でおおよそ1500kcal。


女子高生二人が一日で食べきれる量とは思えなかったが、性根が真面目な二人に食べきれなかったら捨てるという発想はなかった。


「美花がいれば一時間でなくなる量かな?」


祐希は冗談混じりに言った。


「ああ、サッカーしたあとならもしかするかもね。でも美花部活中だし」


サッカー部に所属している美花は基本的に放課後は部活である。


放課後はホームルームのあと、メイ達に軽く挨拶をし、誰よりも早くグラウンドに向かい練習に励む。


夏の炎天下の中、不良少女美花は一日のうち部活動のサッカーだけはまじめに取り組むのだ。
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