極悪プリンスの恋愛事情
王子様と踊る夜
忙しなく片付けを始める教室で、私は衣装を無心で畳んでいた。
飛び交う言葉も耳の中をすり抜けて心ここに在らず。
そんな私の意識を戻したのは、何気ないクラスメイトの会話だった。
「ねー、聞いてよ!岸本くんに後夜祭のダンスパートナー頼んだら、もう相手いるからって断られた!」
「えっ!?まじ!?」
「相崎くんも結局来なかったし、超つまんなーい」
……うっ。
ダラダラと吹き出す冷や汗をこっそりと拭った。
相手ってたぶん……いや、絶対に私のことだ。
返事を濁した私が悪いんだろうけど、噂にされると体が震える。
また凛くんのときみたいに目の敵にされそうだなー、なんて………。
「へぇ、岸本のやつパートナー決めたんだ。誰だろうね?」
ドキッ。
皐月の声で心臓が飛び跳ねた。