極悪プリンスの恋愛事情


凛くんに嫌われてることくらいわかってたはずなのに、何傷ついてんだろ。


「ごめん、すぐ止めるから………ごめんね」


勝手な言い訳を吐き出して、まぶたを強く擦った。

何度擦っても溢れる涙は止まらない。


泣いてばかりいたら岸本くんを困らせちゃうのに。なんで止まってくれないの。




「泣かないで」


岸本くんの指先がそっとまぶたに触れる。

優しく涙をすくってくれる手がとても温かい。

歪んだ視界には儚げに微笑む岸本くんが見えた。


「……俺、今回のテスト本気で頑張って学年1位取るよ。だから、そのときは俺と1日デートして」


「え……?」


「これ以上傷つく花野井ちゃんを見たくないんだ。凛のことは忘れて俺を好きになってほしい」


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