極悪プリンスの恋愛事情
真剣な言葉にドキリと胸が高鳴った。
ほんの一瞬だけ揺れてしまったのは、心が不安定になっているせいかもしれない。
一生振り向いてくれない凛くんを追いかけるより、私を好きだと言ってくれる岸本くんの側にいた方が幸せになれる。
そんな虚しい囁きが聞こえた気がして、胸の奥が重くなった。
「今言うのはずるいよ………」
「凛に夢中な花野井ちゃんを振り向かせるんだから、少しくらいずるくても許してほしいな」
「でも、私は凛くんのことが……………」
「それでもいいよ。花野井ちゃんが凛を諦められないように、俺も簡単に諦めたくないから」
迷いのないまっすぐな言葉に正直戸惑った。
岸本くんの気持ちは痛いほどわかるから、否定なんてできないよ。
「……わかった」
こくりと深く頷いた。
「えっ、いいの?」
「うん。テストで1位取ったらだけど……」
「やっば、超嬉しい………」
彼なりの照れ隠しなのか、ほんのり赤く染まった顔を隠して、小さな声で呟いていた。