極悪プリンスの恋愛事情
でも、凛くんにそんなこと言っても意味ないよ。
仮に私が岸本くんとどうこうなったとしても、凛くんに関係ないのは事実だし、きっと無関心だ。
……そう思ったのに。
「お前、本気で言ってんの?」
岸本くんのネクタイをグッと引っ張って、鋭く目を光らせていた。
いつもより少しだけ低い凛くんの声にビクッと肩が跳ね上がる。
明らかに不機嫌な凛くんに対して「だったらなに?」と、変わらず高圧的な態度をとる岸本くん。
交差する視線の間にはバチバチと火の粉が上がっているように見えた。
「あいつが好きなのは俺だ。変な真似したら許さない」
「はっ……。彼氏でもないくせによく言うよ。自分のこと好きな子が、別の誰かに取られるのが気にくわないだけだろ」
「…………」
「図星か?他の子だったら簡単に切り捨てるくせに、花野井ちゃんだけ特別扱いかよ」