極悪プリンスの恋愛事情
「うざ……」
いつも通りの不機嫌な凛くんが女の子たちに囲まれている。
もちろん首元にあの日のマフラーは見当たらない。
そりゃそうだよ。私だって同じだもん。
でも、もしもそこにマフラーがあったら……やり直せるんじゃないかって思えたのに。
そんなわけないよね…………。
「あれー、相崎くんカーディガン着てないじゃん。寒くないの?」
……カーディガン?
取り巻きの子の言葉にビクリと体が動いた。
首元ばかり気を取られて見落としていたが、たしかにブレザーの中にカーディガンを着ていない。
なんで………。
息を飲み込んだ瞬間、凛くんと視線が重なった。
そして、囚われて動けない私に見せつけるように大袈裟なため息を吐かれる。
「俺にはもう必要ないから」