極悪プリンスの恋愛事情


いつもなら相崎くんの周りにいる子たちが羨ましくてしょうがなかったけど、今日だけはそんな想いも消えていた。

自分が地味な存在であることに、少しだけほっとする。


「そーいや、相崎くんって白のカーディガンなんか持ってたっけ?」


けれど、そんな落ち着いたひと時を味わえたのもほんの一瞬だけ。


「ほんとだぁ、いつもは黒なのに珍しいね〜」


女の子たちの意味深な発言が気になって、ピクリと耳が動いた。


白のカーディガン………?


じっと目を細めてみれば、たしかにいつもの黒色ではなく、明るい白色のカーディガンを着ていた。

わっ、こんな目立つのに気づかなかった……。


相崎くんは暗い色をかっこよく着こなすイメージがあったけど、明るい色も案外似合うんだね。

一見、爽やか男子に見えなくもない。


イケメンだからなんでも似合っちゃうのかな。


………………って、あれ?


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