極悪プリンスの恋愛事情


そんな極上の容姿をもつ相崎くんに近づこうと、女の子たちの戦争が後を絶たないのだ。

廊下を歩くだけでこれほど騒がれる人なんて、私の知る限りでは相崎くんだけ。


「相崎ファンは朝から元気だねぇ。一周回って尊敬するわ」


ついさっきまで元気に騒いでいた皐月にまで言われるんだから、やっぱり相崎くんの人気は凄まじい。

私だって思わずうわぁ…と、声が出そうなくらいの勢いだもん。


「まっ、相崎に近寄ったところで得るものは何もないけどね〜」


ぐちぐちと相崎くんへの文句が絶えない皐月の声に、心の中で頷いた。


さすがに言い過ぎじゃない?と思われそうだけど、彼女は間違ったことなど何ひとつ言っていない。

なぜなら相崎くんは…………。



「朝からギャーギャーうっせーな。黙れよ」



想像を絶するほどの冷酷人間だからだ。


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